無線いいね

 総務省の電波法の規制により,日本では高スループットの長距離伝送可能な手軽に使えるデータ伝送無線機が存在しない.1990年代,RTKの基準局データを送受信する1対の無線機(400MHz帯特定小電力無線)を約80万円で購入した記憶がある.送信電力10mW,スループットは約2kbpsでした.2千万以上のRTK受信機セットの構成品だったこともあり,当時は何も考えずに使っていました.諸外国では,40km伝送可能な高スループットのW級無線機が安価に購入できる,電波法は電波の有効利用を司る法律であり理解できないわけではないですが,ここまで無線機が高価で制約が厳しいと怒りすら覚えてしまいます.

 特小なので基本的に距離は飛ばない.RTKの場合,基準局から移動局への単向通信になるので,Rover側の無線は受信のみとして無線機の規制から逃れ,大型のアンテナへ交換,アンプで増幅することで距離を稼いでいました.それでも街中では数百mでも届かないこと頻発です.10mWですから当然ですね.

 その後,Yaesu無線さんが430MHz帯特小のデータ伝送無線の汎用機を作り,価格が大幅に下がりました.受信専用としてアンテナの交換が可能な受信機,アンプも商品として取り扱っていました.また,スループット2,400bpsの組込み向けの小型化したデータ伝送無線機も販売され,仕事で十台以上購入して使いました.

 それ以降,あまり大きな動きはなかったような...総務省からデジタルMCA無線がでて,テストしたりしたもの,高価で装置も大きいため,RTK用では普及には至らず.その後も決定打がなく,距離を稼ぐにはちょっと高価ですが,5W出力できる430MHz帯簡易無線が使われていました.

 900MHz帯の周波数再編のため,2012年7月より920MHz帯の特定省電力が利用可能になりました.送信電力20mW(簡易無線は250mW),周波数帯域が高周波側なので?高スループット,?電波の回り込みが期待できないといった特徴があります.でも,これに対応したデータ伝送用の無線機が発売されません.モジュールばかり.

 そんな中,Futaba無線からでている無線モジュールを商品化したいとの相談がありました.Futabaさんはモジュール以外の販売はしないとのこと.数がでないとの判断なのでしょうか.

 さすが400MHz帯特小とは桁違いの高スループット(空中間50kbps),開発用モジュールをいじってみたところ,適切な設定さえすればこれは使えるね!というものでした.

 その後,屋外テストでは,見通しであれば数kmも飛ぶことがわかり,これはマルチGNSS時代に必須の無線機であること実感しました.以後はこの無線機を常用しています.なにより双方向で何も考えずに有線通信のように使える快適さはすばらしいです.SIMが安いのでモバイルルータでやり取りすることも多くなりましたが,通信コストがかからない無線の魅力は健在です.LPWAも出てきましたし無線も面白くなってきました.

 よく無線機の質問で,どのぐらい距離を飛ばせますかというものがあります.無線通信の経験がある人は,皆さん決まってうーんとうなります.こういう質問をする人に説明しても,なかなか理解して貰えないことを嫌と言うほど経験しているからです.色々説明しても,で一体何km届くの,例えばここではどのくらい...言えないし保証できないし,あなたが言った程の距離は届かないと言われても困る...高低差のない街中であれば数百mでもダメな場合がある,高低差がある崖のような場所から海に向けてだと20km近く飛ぶこともある,これ全て経験です.