トラ技のRTKスターターキット

 トラ技のRTKスターターキットの情報が出てきました.
 http://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2018/01/p035-037.pdf
 
1)基準局用(型名:TGRTK-A)
・NEO-M8P-2搭載 (RAW&RTCM対応)
・標準価格 27,000円 (税・送料込み)
・1cmプロジェクト特別価格: 21,600円(税・送料込み)

2)移動局用(型名:TGRTK-B)
・NEO-M8P-0搭載(RAW対応)
・予価 21,600円(税・送料込み)

1)の1cmプロジェクト特別価格というのが,基準局公開を条件としたディスカウント価格の設定でしょうか.
いつ発売なんでしょう.


追記)どうもトラ技発売日明けの 月曜か火曜らしい 遅れるかも...

プレゼン動画作成

 あるところからの依頼で研究成果の動画を作成中.昨晩になってメンツが動画編集を始めましたが,YouTuberの如く没頭して凝りだしました.結局午前様,動画編集の理解がだいぶ進みました.

 アンテナの動きを捉えた動画に,測位結果をスーパーインポーズすると説得力あります.これはいいね.ただ手間がとてもとてもかかります.YouTuberのこと尊敬しちゃいます.

通信モジュール

 高精度衛星測位では,基準局データなどの送受信が必要になります.MADOCA-PPP(PPP)やCLAS(PPP-RTK)は,QZSSが放送するLEXを受信することでこれを担っており,いわゆる受信するだけで高精度となる理想的な利用環境を提供してくれます.次世代高精度測位のデファクトスタンダードになるはずです.

 一方,ローカルなRTKでは,自ら基準局を設置して,通信手段を確保して,ハンドシェイクしなければならず,この手間やトラブルは利用者にとって大問題です.

 これを解決する方法で真っ先に思いつくのは特小無線や簡易無線を使うことです.電源ONでリンクが確立できるので接続トラブルがありません.しかし,これも無線が届く範囲の話であって,もし届かないエリアがあれば複数の基準局設置など対策が必要です.数年に渡る長期の運用であればいいのですが,その日限りの利用という場合,現地に入ってみない無線が届くか分からないというリスクを負うことになります.

 最近,相談があって,ある通信モジュールの設定のお手伝いをしました.設定ソフトウェアの信頼性にちょっと(本当にちょっとかな)難ありな商品ですが,提供される機能はとても魅力的です.

 ubloxさんは,コンシューマ向け衛星測位受信機を取り扱うメーカです.近年ではRTKエンジンを搭載したM8Pを低価格で提供したことで注目されているメーカです.このubloxさんは衛星測位受信機以外にも通信モジュールを扱っており,その中にODINという通信モジュールがあります.ubloxさんが扱う通信モジュールでも,無線LAN,Classic Bluetooth,BLEに対応し,マルチに同時利用できる全部入り,ちょっと高価なトップレンジの通信モジュールの一つです.

https://www.u-blox.com/ja/product/odin-w2-series

 これを例えばM8Pとセットにし2台用意して,これを基準局,移動局として使うと,無線LANで基準局データをやり取りしてM8Pで測位計算し,その結果をBLEで投げるということが可能です.マルチ対応なので無線LANBluetoothの同時利用ができるのはいいのですが,ここまでは普通です.でもODINのすごいところは,もう一歩踏み込んだことができることです.

 先程と同じくM8Pとセットにし2台用意して,これを基準局,移動局として使うことにします.基準局データのやりとりをモバイルルータ越しにIP通信でやりとりする場合,一般的にはパソコンやマイコンが必要で,モバイルルータとパソコンを接続し,その上で通信ソフトを動かしてCOMの情報をやり取りします.

 しかし,ODINはモバイルルータ越しに接続を勝手に確立させることができます.パソコン不要です.電源を入れるだけ,無線LANを通してモバイルルータと勝手に接続し,相手のIPを叩いてシリアル通信を開始します.設定さえすれば自動でできてしまいます.もちろん,Bluetoothの同時利用が可能ですので,モバイルルータ,M8P,ODINの電源を入れれば,勝手にRTKを始めてBLEで測位結果を飛ばすところまで全自動にできてしまう,これはいいね.

 問題は一番最初に書いた「設定ソフトウェアの信頼性にちょっと(本当にちょっとかな)難あり」というところです.久しぶりに手こずりました.設定ソフトで手こずるなんてどうしてと思いますよね.設定しても反映されたり反映されなかったりして...ここをどうにか解決できればいいのですが.一回設定できてしまえばOKなのですから.


 
 

3Dプリンタ

 遅まきながら,やっと3Dプリンタを使いこなせるようになった.

 安価な製品ということもあるのでしょうか,造形物の底面の反りや穴部分の精度が甘かったりしてメンツが試行錯誤していたのですが,ここにきてビシッと正確に作れるようになりました.他のメンツも手を出し始めて,やっと輪が広がってきた.いいね.

 ノズルや成形テーブルに貼ってあるフィルムに問題があってことも原因だったが,ものを使いこなすには多少なりともノウハウが必要です.そのノウハウ自体が役に立たなくても,その経験は将来役に立つはず.やはり技術は組織ではなく人に根付くものですか.

 このノウハウを積み上げる行為は,時間,手間がかかること,根気が必要だったりします.スペック通りの性能がでないセンサ,例えば高精度なジャイロで性能を引き出すことは大変です.メーカに問い合わせて終わりにするのか,スペックを引き出す使い方を泥臭く探るのか.

 前者の選択は当然と言えば当然,センサが壊れている可能性があります.時間的な余裕がなかったり,遠回りしている気がしますし,これは自分の仕事ではないと思ったりして...当然の判断です.でも遠回りのように見える道が,実は近道だったということはよくある話です.その先に価値が生まれることもあったりして.

小峰無線電機さんのアンテナ

 今年の測位航法学会のサマースクールで小峰無線電機さんのアンテナが使われたと聞きました.

小峰無線電機さんのアンテナ製品ページ
http://www.kominemusen.co.jp/recommend/item13.html

 小峰無線電機さんとは縁があって,商品がリリースされるだいぶ前なのですが,お話する機会がありました.開発に10年かかっている商品であること,NovAtelのアンテナをベンチマークとして開発したと聞いたこと思い出しました.

 まだ発売されたばかりでユーザ不在な商品,期待を込めて今後機会があれば評価してみたい.開発者の顔が見えることもいいね.

RTK基準局のコスト

 受信機のローコスト化により,RTK基準局のコストは大きく下がりました.ただ数を増やすにはどうしたらよいか.まずはノートPCをマイコンへ変更することから始めてみる.

まずは第一段階として,M8P + ノートPC(Windows) + STRSVR + モバイルルータ から
 M8P + Raspberry Pi3 (Raspbian) + STR2STR + モバイルルータ へ変更して,
TCPサーバで試運転中,今のところ問題なし.

 次のステップとして,以下を準備中.
M8P + Raspberry Pi3 (Ubuntu) + SNIP (Ntrip Server) + モバイルルータ & Microsoft Azure (Ubuntu) + SNIP (Ntrip Caster)

さて問題なく運用できるでしょうか.これがOKなら他の受信機の追加と全国数カ所への展開を進めたいと思います.

 unix系に触れるのは久しぶりです.学生時代にSPARCstation 2 で X-window system を動かして以来です.Linuxの出始めのときにインストールして少し触ったが続かず.

(追記)
Tさんのブログでご指摘あり,情報ありがとうございます.別の方法も探ります.

Tさんのブログでの指摘,ごもっともです

 Tさんのブログでご指摘いただきました.

昨日引用したブログ記事について、少しCLASの弁護だけ。まだサービス開始後2カ月くらいだし、過去実績がほぼない新しい技術なので、利用に関する知見が集まり、実際に「使い物になるか」評価が定まるには、まだ1年以上はかかるのではないか。それまでは暖かく見守る必要があると思う。

 全くその通りで申し訳ないです.頑張ってシステム構築した人達にあまりにも失礼でした.想いをもって開発していた人達に謝ります.

 デコーダ内蔵の受信機がでてくるのはまだ先ですし,数年の中でユーザが性能を評価して,新たな使い道を含めて考えていけば,すばらしいインフラになると期待しています.次世代の高精度衛星測位の主役です.私も何か協力できればと思っています.

 ローカルなRTKをまだやっているの?もう必要ないでしょ?と言われることがあまりにも多くて...PPP-RTKを知らないユーザの過度な期待があったと思っています.私も冷静にならないといけません.