トラ技のRTKスターターキット,もう売り切れてる

 トラ技のRTKスターターキット,販売開始となった模様.模様というのは気づいた時には在庫切れになっていたからです.今日の何時から販売開始だったかわかりませんが,あっという間に売り切れだったということでしょうか.

http://shop.cqpub.co.jp/detail/2114/

善意の基準局掲示板

 トラ技2018年1月号の14話「オープン基準局の利用法とMy基準局の公開の仕方」において,登録制の基準局リストが公開されている.中本さんの記事です.

善意の基準局掲示
 http://rtk.silentsystem.jp

 ここの登録RTK基準局が増えてくるといいね.もちろん基準局座標値の質とかありますが,まずはこのような文化が根付くことがRTKにとって大事と思います.皆さん積極的に参加してください.私も参加します.

GPS/GLONASS受信対応アンテナによるBeiDou受信(気をつけましょう!)

 GPS/GLONASS対応アンテナ(BeiDou受信未対応)でBeiDou受信の受信テストします.受信周波数帯域の違いから数dB〜10dB以上のCNの落ちがあると言われています.RTKを厳しい受信環境で利用する場合,例え数dBの落ちでも受信衛星数で5個も減ってしまうことさえあります.ギリギリのところでFix解を維持したい場合,例え3dB程度であっても厳しいです.

 実験は三脚でアンテナを固定設置し,それぞれのアンテナを30cm程度の隣に設置します.受信環境は構造物や木々の多い厳しい場所です.

 まずBeiDou受信対応のNovAtel 703GGG(20万円オーバークラス)によるC/N0です.

 次にBeiDou受信未対応のTallysman TW3400GP(リットーさんがグランドプレーンを付けたもの,7万円?クラスかな)によるC/N0です.

 GPSとBeiDouのC/N0値を見ます.
703GGG・・・GPS:16番47dBHz,26番50dBHz,BeiDou:1番46dBHz,7番46dBHz
TW3400・・・GPS:16番49dBHz,26番51dBHz,BeiDou:1番45dBHz,7番46dBHz

 GPS受信における703GGGとTW3400GPの比較では,TW3400GPが1-2dB高いです.
 BeiDou受信における703GGGとTW3400GPの比較では,703GGGが1dB高いです.

 つまりBeiDou受信未対応のTW3400GPでは,GPS受信を基準にするとBeiDou受信で1-2dB落ちるという結果です.
相対比較なので何とも言えない結果ですが,影響はとても少ないという印象です.TW3400GPのC/N0が全体的に高いということもあります.

 本来であればBieDou対応のTW3710GPと未対応のTW3400GPの比較が必要です.リットーさんの現ラインナップはTW3710GPに変わっています.その辺りを考慮しての対応でしょうか.

 その他,気になることはTW3400GPの受信感度は優秀だということです.これはいいね.

 今回は7万円?クラスのアンテナですが,数千円や数百円クラスのアンテナの場合は5-10dBの落ちがあります(経験済).BeiDou受信に未対応でも大丈夫と安易に考えると痛い目に合います(痛い目に合いました(笑)).くれぐれも気をつけて下さい.

NVSさんローコスト2周波NV08C-RTK-Mの火入れ

 NV08C-RTK-Mが試験機扱いで届いた.公式では日本第一号だと思います.NVSさんからはマニュアル類の添付なし,ボードのみとのこと,ホームページにもNV08C-RTK-Mに関する別マニュアルはありません.1周波のNV08C-RTKと共通なのでしょう.

NVSさんの受信機ラインナップ
http://www.nvs-gnss.com/products/receivers.html


 NV08C-RTKと同じ躯体に入った試験機ということもあって外観上は見分けが付かない.NV08C-RTK-Mを基準局,移動局としてRTKをかけてみる.アンテナは定評のあるTallysmanのTW3870,試験環境は建物,木々に囲まれた厳しい最悪の環境,ミスFixも頻発する場所です.せめて基準局のみ良い環境に設置したかったのですが,まずは火入れということで妥協します.

 NV08C-RTK-M,現状ではGPSGLONASSしかONにできない.マニュアルがないのでわかりませんが,いくつか想像でコマンドを送ったものの受け付けず.BeiDouやGalileo対応は次のファームになる模様.

 すんなりFixしますね.ただ環境が悪すぎなのでしょう,少々時間がかかります.同じ場所にFixするしミスFixは見られません.優秀そう(安易かな,笑)です.そこで1周波のNV08C-RTKと比較してみます.NV08C-RTK-Mで取得した基準局データを,1周波のNV08C-RTKにも分配してRTKをかけて比較しました.(1周波NV08C-RTKにとって基準局,移動局が異機種となります)

 うーん.違いがわからない,といいますか1周波NV08C-RTKが優秀です.やはり観測環境が悪すぎですかね.しばらく眺めると1周波のNV08C-RTKはミスFixしてます.この環境だとしょうがないのですが,ミスFixに気づいてFloatに戻るのにちょっと時間がかかります.対して2周波NV08C-RTK-Mは,ミスFixしても数秒程度でFloatに落ちて再初期化します.この違いは感じます.

 あとは長基線長など,1周波が苦手な環境で比較してみたいです.でもまずは基準局をオープンスカイの場所に移しての正しい評価が必要です.

Ntripの稼働試験のその後

 Microsoft AzureでUbuntuを選択,HDDを選択の上,A1 standard(1vCPU, 1.75GB)を選ぶ.当初,最低のA0 standardを選びましたが,Ubuntuが重くてほぼ動かない状況で変更しました.xdrpにてリモートログイン,SNIPは無事起動,問題なく動作しました.

 ラズパイ3でUbuntu64bitはご指摘の通り厳しい(メモリ的にも厳しい)です.そこで当初の暫定仕様で試験運用を開始しました.
M8P + Raspberry Pi3 (Raspbian) + STR2STR + モバイルルータ
当初M8PとM8Tの2ストリームで実施しましたが,約6時間で落ちてしまう.

 原因不明ですが,ラズパイ3はM8Pのみにして,別PCにM8TのNtripサーバを担わせて,モバイルルータ共有(ラズパイ3有線LAN,PC無線LANにてモバイルルータと接続)にて連続稼働試験に再度入ります.特に問題ない模様でしたが,これも数日で落ちてしまう.うまくいかないです.

 ..とようやく原因が判明,モバイルルータのバッテリが尽きてしまってモバイルルータが落ちていました.ラズパイ3のUSB給電では充電が間に合わないようです.USBアダプタから充電しながらラズパイ3と別PCの双方を無線LANでつなぐと,ぶつかるのか毎秒送信ができずタイムアウトしてしまう.

 3GB制限の格安SIMを使っているのですが,TCPサーバ運用の場合は接続ユーザがいない場合,パケットの消費は0ですので,利用者が数人,毎日使わない環境のであれば1ヶ月は保ちました.Ntripサーバの場合は,接続ユーザ数に関係なくCasterに常にアップロードしているのでパケット消費が多く,1ヶ月3GBはオーバーします.そこでパケットを消費しない低速モード(200kbps制限)に切り替えて試験運用しています.これが原因の一つかもしれません.

 そこで別PCを有線LAN,ラズパイ3を無線LANにすることで充電も接続もOKとなりました,しばらく試験運用後に展開する予定です.なお,別PCは2ストリームを流すための暫定仕様.基本的にM8Pの1ストリームでの運用を考えています.(ラズパイ3で2ストリームも可能です)

追記1)どうも時間が経つとラズパイ3に接続するM8PのUSBが認識しなくなる模様.M8PをUART接続にて改善するか試験を開始してみる.

追記2) M8P(UART接続)+ Raspberry Pi3 (Raspbian CLIで動作,RAMディスク) + STR2STR + モバイルルータ(無線LAN接続)でやっと安定.3日間連続稼働クリア.屋外物置内で雨風がしのげる環境(外気温での稼働).

 

トラ技GPS特集の目次公開(12月9日(土)発売)

 本家トラ技の次号紹介で目次が公開となりました.一部記事の冒頭だけのぞけます.中本さんと久保先生すごいね.
http://toragi.cqpub.co.jp/tabid/862/Default.aspx

 これをきっかけに高精度衛星測位が広く認知されることを心から願います.私もできることをやらないと.