CLAS...これは混乱しますよ

 準天頂衛星みちびきから,補強信号が無料で配信される,その精度は何と6cm,みちびきを受信すれば誰でも6cmが手に入る.そんな報道がメディアから一斉に放送されました.

 これを受けて,ローコストRTKを指向する私には多くの質問が投げかけられました.象徴的だったのは他分野のとても有名の先生からの質問で,ある研究会で「先生,まだRTKなんてやっているのですか?,時代はCLASで無料で6cmの精度が出るの知らないのですか.もうRTKは時代遅れで誰もやらないですよ」と言われたそうで,実際はどうなの?というものでした.

 誰なのでしょう,こんな無責任な話をするのは...(もう笑いを通り過ぎて泣けてきます).行く先々で質問が浴びせられ...困りました.これは真実をまとめなければ混乱してしまう,そんなことから,某雑誌の依頼もあって,記事にまとめることにしました.ここ2ヶ月は情報収集に奔走しましたが,当事者はA4一枚のプレスリリース以外は何も話せないとのこと,しかし幾つかの伝手から興味深い情報が集まって,まとめることができました.

 国のお金を数百億円単位で投入した一大事業です.この国民のために計画されたサービスの性能が,国民不在で決定されることに違和感を感じずにはいられません.まあ,RTKをうん十年やってきた立場からするとがっかりな精度です.高精度衛星測位の応用をやっている経験から数cmの精度を保証できない測位法は,50cm程度の精度しか要求されない分野での応用以外,道はありません.このような応用先って意外とないのです.案の定,建設業界には落胆の声が広がり始めました.無責任な話をしていた人達は火消しが大変です.

(追記)
他人事のようではダメですね.私は私の立場でしっかりと評価して説明したいと思います.